No Real :in the headphone

Air Heavy

 そこに立ってこっちを見てみてよ、と彼が言って、私は言うとおりにした。彼は私の立っていた場所に少し移動した。

 彼のほうを見ようと思ったとき、私は彼が見えないことに気付いた。空気の流れが彼の周りだけ違うようで、うっすらと壁のようなものが見える。壁はゆらゆらとしていて、彼の周りを大きくなったり小さくなったりしながら、それでも彼を見せない。透明な壁で、彼自身が透明になっている。

 少し時間がたつと、彼の姿が見えるようになってきた。空気の流れが混ざり合って、壁がなくなったみたいだ。

 そして彼は

「見えた? 僕がいつもそれを見てるんだよ」

 と言って、私を見た。

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