No Real :in the headphone

Null

 よくある話……

 気付いた時には、周りには、誰もいなかった。誰かの笑う声で、僕が笑えたり、誰かがする哀しい眼で、僕が泣けたり、そんなことが、昔はあったのに、今はもうない……

 深く考えれば、考えるほど、先のことが、楽しい輝きがないことに気付いてしまう。毎日毎日、目の荒いやすりで心が削られていく中で、少しだけの得ることと、楽しくない全てがあり、それは結局、失しなうもののほうが多く、死ぬまでずっとないし寿命を全うすることなく、何か自分の中にあった、よくわからないものを、全て損ってしまうことに他ならない。

 他の人々が、この理不尽なシステムの中で、どうやって、保っているのか、わからない。なんで、普通に生きていけるのか、ただ毎日生きて、よくわかないことに盲目的にとりくめるのか、僕にはわからない。

 自分の部屋にいるとよく助けを求めて叫んでしまう……そんなことしたって意味がないのに。いくら、頑張ったって、僕を今見ている人はいないし、僕も、誰かを見れるようになるわけじゃない。

 叫んだって無駄なのだ……どうしたって

Holographic Memories Save the Continuations

 今日僕はバックアップを使うことにした。僕はDNAロックで封印された金庫を開き、一年前のホログラフィックメモリをとりだす。その立方体は、金庫の部屋の薄暗い青い光にてらしてみると、よく晴れた日の思い出のようにきらきらと輝いていた。笑った。「よく晴れた日の思い出のように」だって?

 僕は現時点での記憶を一応最新リビジョンとしてメモリに書きだし、それをとりだしたメモリのあった場所に置いた。一年前の記憶には、一年前から今までの記憶がないから (あたりまえだ)、あとでマージする必要がある。そしてそのために僕は自分に向けて、最新のメモリを読むように、というメモ書き握らせた。僕はこれから一つ枝を折るわけだけれど、正直いって、これによりどうなるかよくわからない。誰かに聞いた話によれば……


 目を覚ました僕は、自分が一切の記憶を失っていないことに気付いた。ちゃんとバックアップから復帰したはずだけれど、よくわからない。そして、僕は手にメモを握っていなかった。最新のバックアップをとっさに確認したが、そこにはさっき保存したバックアップはなかった。むしろ、復帰に使ったバックアップさえなかった。最後の、すなわち最新のバックアップは二年前のだ……

 僕は誰かに聞いた話をよく思い出す。「バックアップは記憶を保存しているんじゃないんだ」どういう意味だろう……そいつは他に何かを言っていたか? 思い出せない。


 外にでると、どいつもこいつも去年の話ばかりしていた。電車の中で聞こえる喋り声も、家に帰ってからみるニュースも、新聞も、雑誌も……

 よくわからないけれど、状況的には僕だけが一年前に戻ったみたいだった。あのバックアップメモリはいったいなんだろう……

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