No Real :in the headphone

Play at Humans

 いつものように、予備校に行って一番の後ろの席に座って、教室を見ていたときに、私は不思議な気持ちになった。

 なんでこの人たちは、こんなに必死なんだろう。なんであの教壇に立っている先生は、答えられなかった生徒を叱っているんだろう。なんで私は、ここにいるんだろう? 私が私じゃなくなって、幽体離脱しているような感じ。なんだろう?

 きっと私たちは人間ごっこをしているんだ。そう思った。人間らしく考えて、人間らしく悩んだり、泣いたり、喜んだりする。人間らしく生きていることに楽しさを抱いてる。悲しいことも楽しんでいる。人間ごっこなんだ。遊びにすぎないんだ……

 遊びなのに、いままで私はそれに気づかずに、つらい気分になったりしたんだ。でも、これからも。

 私はこの遊びをやめる方法を知らない。どうすればやめられるんだろう? いつの間に? 誰に? 誰が?

 そんな、遊びの中で、私は、人間らしく、人間ごっこについて考えるんだ。

Silent Room

 私が独りでいると、決まって誰かが「誰かそこにいるの?」って問いかける。でも、私は返事をしない。私はその誰かが誰なのかを知っているし、なんで呼びかけているのかも知ってる。知らないことなんてない。全部知ってる。

 呼びかけている誰か、なんていないんだ。

 今、部屋には私独りしかいないんだ。

Clear the Head

 秋。雨がふるたびに、空気が冷たくなる。

 秋。雨がふるたびに、空気が透明になる。

 秋。いつのまにか晴れた空を見上げて、私は、すべてを忘れてしまう。

Dreamer in Dream

「夢を見ていたんだ」

 僕は君に話しかける。

「何もない立方体の部屋で、君と呼ばれる誰かに話をする夢」

blue

 見上げると真っ青な空で遠近感をなくし、視界がぐらぐらと揺れる。視線を元に戻して周りを見ると、誰もいない。

Black or White

「この音が聞こえるか」と彼は言った。

 つまびくギターの音が私に聞こえていた。でも私は

「どの音?」って聞き返した。

 彼は笑った。

 私は目を開ける。目を開けると真っ白だった。さっきまで真っ黒で、光を感じなかったのに、今度は真っ白だった。真っ白以外なにもなかった。そのなかで、ギターの音がどこかから聞こえていた。


 今日私は、そんな夢を見た。

 そして私は無音の、灰色の部屋で起きて、窓の外のやけに青い空を、見た。

Smoking under the Ground

 その道の落ちている煙草の吸殻の一つ一つが、黒いもやもやを含んでいる。私がそれを見るだけで、その黒いもやもやは私の胸にたまっていく。

 誰も考えないから、誰も考えないなら、私はもう、外を歩きたくないと、何度も、何度も、思うのです。

 黒いもやもやは、私が悪いのでしょうか。それなりの誠実に生きてきたつもりの私は、どこで間違ったのでしょうか。

Fall into Hell

 秋の空気をやさしいって思うのは私だけなのかな。少し冷く感じる温度が、私の体温と一緒に、嫌なことももっていってくれる感じがする。だから、私は秋が好き。冬の空気はとがりすぎているし、春の空気は優しすぎてつらい。そんな風に感じる。

 こんなことを考えながら、独り、部屋で天井を見上げてる。もちろん天井に何かがあるわけじゃなくて、たまたま目に天井が写っているだけだけれど……でも、私は、こういう風にしてどうでもいいことを考えるのが好きなんだ。誰も見てない。何の役にも立たない。

 なんとなく、CD の音を消してみる。みんなが寝ている時間だから、すごく静かになる。静かになると、すごくお腹が締め付けられる感じがする。なんていうんだろう? どんな感情なんだろう?

 少したつと耳が痛く感じてくる。私はしかたないから CD を掛けなおす。

 そして、乾いたやさしい歌を聴きながら、眠くなって、寝てしまうんだ。ああ、なんて私は幸せなんだろう。

Magic Words

「君は魔法ってあると思う?」

「言葉。言葉が魔法だと思うね」

「君はあっさりと気持ち悪いことを言うのね」

 彼女は何かを考え、苦笑した。

No people in the world

 朝起きて外にでる。夏にしては冷たい空気を吸い込む。まだ太陽があがりきらない朝の、すこし突き放すような空気に、僕は包まれている。朝がきたと実感する。新聞が挟まっている。もう今日という世界が動き出していると実感する。

 階段をくだって、通りにでる。車が走っている。

 車。しかし僕は奇妙な違和感を覚えた。車に、人が乗っていなかった。車は独りで走っていた。道をまがり、僕の知らない目的に向けて。

 犬が歩いているのを見掛ける。首輪がついているが、まわりに人はない。よくみると、首輪につながれている紐が浮いている。まるで、誰かがそこにいるように。

 僕は例にコンビニに入ってみた。店員はいなかった。近くにある他のコンビニにもいってみたが、誰もいなかった。

 おかしい。人の気配がする、いつもと同じ朝。そのはずなのに、人が見当たらない。一人も。

A Day of a Headphone Girl

 私って少し異常なのかなって少し思って、ううん、こんなの誰でもあるんだって思いなおす。こんな下らないことにでも、アイデンティティを見出そうとして、馬鹿みたいだなぁって少し自己嫌悪。

 私は音楽を聴くのが病的にって言える程好きで、だから、家でも外でもヘッドフォンをして、もう少し時代遅れのプレイヤーから音楽を流してる。私はこうしていないと落ち着かないみたい。一度プレイヤーの電池を切らしちゃって、そのまま出かけたことがあるのだけれど、どうしても不安でしかたなかった。小学生のころ一人で留守番したときのような、そんな不安。もう、あんな気持ちになるのは嫌だなぁ、なんて思いながら、私は今日も学校へいく。

 少しだけ歩いて、少しだけ電車に乗って、また少しだけ歩く。そうすると私が通っている学校。教室に入る。誰もいない。一番乗り。少し嬉しい。少し寂しい。自分の席に座って、窓から空をみて、いい天気だなぁって思う。そしたら急に、頭に唄が浮かんで、聞きたいなぁって思いはじめて、まだ途中なのに、曲を変えてしまう。ごめんね前の曲さん。

 そうやってぼーっとしてると、みんなが教室に入ってくる。担任の先生が来て、ホームルームをする。私はヘッドフォンをとる。そういえばこの前、ヘッドフォンしたまま眠ってしまって、先生に叩き起こされたなぁ。とか思い出してみたり。少し笑ってしまう。馬鹿だなぁ。

 放課後になって、私は部活に入ってないから、家に帰る。別に入りたくないわけじゃなかったんだけど、なんだかタイミングを逃してしまった。だから、放課後は少し詰まらない。家に帰っても、やることなんてない。

 セーラー服もそのままで、部屋に横になって、天井を見る。白い天井に、お母さんが作ったかさに包まれて、白熱灯がぶら下がってる。そして、もっとちゃんと笑えれば、男の子も寄ってくるのかなぁ、でも、もとがだめかなぁ、なんて、自分の恋について、考えてみたり。まあ、そんな日もあるのですよ。

 そんなこんなで、ご飯を食べて、お風呂に入って、髪を乾かす。私の髪の毛は、自慢じゃないけど綺麗って褒められる。私も綺麗だと思う。って、やっぱり自慢だね。でも、ときどきこの髪を短く切ってしまいたいなぁ、なんて考えてしまう。なんでだろう?

 寝る前に、ふとんに仰向けになって、好きな唄を少し聴く。目を閉じて、ヘッドフォンの奥の風景を想像する。そうやって見える風景がすごく好きで、なんだか、また明日も生きていけるかなって思う。そんなこんなで眠くなって、また明日。

 明日は、何かいいことがあるかなぁ?

0001

夕暮れの景色のなかを僕は歩いている。前を歩く二人が、楽しいそうに、笑う。


ヘッドフォンの奥の景色がすごく好きで


教師となった俺、赴任先の中学は俺の母校。教室に入ると、過去の俺がいた。


窓ガラスに映る夕日 


「なに?」

「何を聞いているのかなぁと」

「あなたには関係ないわ。それに、言ってもわからないと思う 」

「そう言われると余計気になるね」

「ふーん。まぁいいわよ。ウェンディーズっていうバンド。マイナーだし、知らないわよね」


「否定も肯定も変わらないわよ。否定して傷付く人がいるなら、肯定されて傷付く人もいる。例えば今の私達とかね。」

Flower

花は何も言わない。文句もなにも。少なくとも聞こえない。

花は裏切らない。

なら、それでもいいんじゃないか、と僕は思う。

閲覧室の窓

僕はいま閲覧室にいて、窓から外を見ている。近くに電車が通っているが、そんなに音がしない。まぁ、閲覧室だし、防音されているのだろう。

空は晴れてはいるが、都会独特の少し彩度が落ちた青で、僕の気分を悪くする。

僕がこちらに引越してきて、もう十二年になる。僕はいま十八歳なので、人生のほとんどをこちらで過ごしているといってもいい。でも僕はいまだに、この青に慣れることができない。

Lost

  • 多摩川
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  • 中学生
  • 歩み

Stage

  • 緑の歌
  • 汚いステージ
  • 短い髪

March

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