No Real :in the headphone

Blackout

「じゃあ……」

 誰かが何かを言いかけて、そこで目が覚める。僕は手に残る感触を確かめる。感じたはずだ、夢じゃない……でも夢だったかもしれない……確かなことはわからない……もう一度目を閉じる。まぶたに残る残像をたどって、手を伸ばしてみる。少しずつ遠く、手を伸ばせば伸ばすほど遠くに白く消えてしまう。

 目が覚める前、どこにいたのだろう。窓からやたら彩度の高い青い空が見えて、室内では誰かが笑っていた。そのうちの一人が僕に手を伸ばし……


 青い空の色遠く、冬の空に映す夏の空。かつて春も夏も秋も冬も、手を伸ばして、握ってくれた人がいたろう。思い出せ。

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