No Real :in the headphone

Butterfly in My Heart

 電車の中で、私はただ、怯える。周りの人たちが、次の一瞬に大きな声で私を怒鳴りつけ、排除しようとするのを、感じてしまう。みんな、無関心を装って、私に嫌な視線を投げかけて、殺してやる、殺してやる、と言葉を投げかけてくる。私はどうしようもなく、怖くて怖くてしかたなくて、眼を閉じて、ヘッドフォンの音に集中して、苦しまずに、死んでしまう方法を、殺されるまえに、死んでしまう方法を、考える。考える……

 学校につくと、クラスメイトに「おはよう」って挨拶をされるけれど、私は、それにうまく答えられなくて、また、そのクラスメイトに、あきれられてしまう。「挨拶もできないの」だとか「感じ悪い」だとか、私の頭の中に響く、でもクラスメイトは、いつも笑顔で、だから余計に、私は、怖くなる。この学校に来てから、明確ないじめみたいなのは、私は見たことがないけれど、何かの切っ掛けで、私がまた対象になったり、するかもしれない。そう思うと、そんな、ただの「かもしれない」でも、不安でいっぱいに、いっぱいになって、私の世界は、真っ暗闇に落ちていってしまう……

 昼休みになれば、私は、できるだけ独りに、独りになろうとして、立入禁止の屋上に入って、心を静かにして、空を見て、雲を見て、どうにか落ち着くことができるけれど、その瞬間瞬間にも、誰かにこうしているのが見つかって「屋上は立入禁止だぞ!」って、怒られることを、思い浮かべてしまう。でも、それでも、こうやって、確実に独りになれる場所にきて、心を落ち付かせることを、しなくちゃ、いけない。もしかしたら、そんな誰かに見つかってしまったら、私は唐突に、屋上のフェンスを乗り越えて、死んでしまうかもしれない。でもそんなことは、やっぱり、考えないように、考えないように……

 私の心には、いつもいつも、蝶が閉じこめられて、バタバタと鱗粉を落としながら、もがいている。誰か、助けて欲しい。でも独りでいたい。ずっと、でも、むり。独りは生きていけない。生きていけない。なら……

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