No Real :in the headphone

Fall on Sky

 都会の突起物の上にいると、世界が少し広く見える。空は特に。夜風に吹かれながら、疲れた眼を少しこすった。

 「大人になると星が見えなくなっちゃうから」

 数年前少しだけ仲が良かった女の子がそんなことを言っていたことを、唐突に思い出した。どんな会話の流れだったかは全然思い出せないのに、この言葉だけが中に浮いて鮮明さを保っている。

 空を見上げると、まだ星があった。子供のころの記憶よりは少ないが、見えることは見える。まだ星があった? 違う。そもそも住む場所が変わったのだ。明るい都会では星の数が減って当然だ。当然なんだ。

 一旦眼を閉じて、開ける。瞬きより少し長いぐらいの時間をかけて。

 眼を開けて、最初に見た星に、手を伸ばしてみる。中指の先が、星に……触れる直前、その星は消える。わかっていた。こうなることはわかっていた。

 結局、過去の自分は彼女に届かなかったし、今の自分は夜空の星に手が届かない。だからここにきた。自分を星にするために。

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