No Real :in the headphone

Holographic Memory

 透明な立方体を太陽にかざして見ていた。中に細かく何かが刻み込まれたそれはきらきらと光を反射させる。

「君の記憶?」

 誰かが僕に話しかける。僕は頷く。

「太陽に長くかざしてたら消えちゃうよ」

 誰かが言う。

「もういらないから」と僕は答える。

 僕は十八個目の立方体をじっくりと太陽の光にあてていた。これで最後。

 そして、日が暮れて、僕は立ち上がる。誰かがまた僕に話しかける。

「どうするつもりなの?」

「リセットするだけだよ」

「バックアップを焼いたくせに」

 誰かがそれ以上何かを言う前に、僕は頭のスイッチを内側から切り替える。少し遠くから、カウントダウンが聞こえる。僕はそれを聞きながら、ポケットの中の立方体を全て地面に落とす。あと5秒。

 4・3・2・1……

Archives