No Real :in the headphone

My Proof

 屋上から見る校庭。運動部と、その中にいるクラスメイト。私に気付かない。平和な空。少し寒い。

 今日も授業にでないで図書室にいた。授業中の図書室は、誰もいなくて、落ち着く。紙の臭いと、淀んだ空気。なんとなく手に取った本を一冊読み終えて、屋上に出たら青とオレンジのグラデーション。遠くまで。

 教室に私の席がないから、少し前からこうしているんだ。先生は何も言わないよ。私が言ったって、無駄だったんだ。私の担任は体育教師。校庭にいる。嫌だ。嫌だ。

 でも一度生徒指導室に呼ばれた。「授業にでないのはなんでだ?」だって、笑ってしまう。適当に答えて、その日も屋上にでた。今よりも少し濃いグラデーション。

 どうすればよかったか、なんて今更考えたって無駄だから、これからどうしようなんて考えるけれど、全然わからない。学校を出たら変わるのかなって、誰かに訊きたいけれど、空だってそんなに暇じゃないんだ。

 立ち上がってスカートをはたいて、フェンスを握ってみる。触った部分が黒くなって、汚れてしまった。

 眼を閉じて風の音を聴いていると、嫌でも校庭の音がする。また眼を開ける。私のいるげんじつ。冷たい風の歌。

 汚れた手を、空色のハンカチでなぞって拭く。手から汚れが落ちたって、ハンカチが汚れてしまう。ちょっと後悔する。

 後ろから音がして、誰かが屋上に入ってくる。変な人。でも柔らかい。

「はじめまして」といってお辞儀をして、「お迎えにあがりました」って私の手を待つ。

 そっか、そっか、なんて思って、私はその手をとって、ダンス、ダンス。

 昇っていく。空へ、グラデーションの中へ。その境目を通って、新しい世界へ。

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