Room With Tender Walls And No Roof
少し前の話。
気がつくと見覚えのない場所にいた。数メートル四方のスペースに、十メートルほどの壁がまっすぐ立っている場所だ。見上げると空があり、そのときは群青色に雲が少し浮かんでいた。
壁はこれ以上ないくらいに真っ白だった。さわってみても凹凸が感じられない。床も白。おかげで高い壁があっても、太陽があるうちは暗くはなかった。
何がなんだかわからなかったけれど、出口はないし、壁を上るのも不可能なので、出ることはすぐに諦めた。見上げて見える空以外に見るものはなかったけれど、お腹は減らなかったし、不思議と寂しくもなかった。夜は真っ暗だったから、いろんなことを考えて、どうせだからいろんなことを忘れようとしてみた。そんな感じで一週間ほど(よく覚えていない)寝たり起きたり、余計なことを考えたり、空をただ眺めたりしたと思う。
そんなある日、朝起きて空を見たら――というより勝手に眼に入るのだけれど――雲が灰色で、雨が降り出しそうな感じだった。ずっと晴れているのもおかしいか、と思っていたら、案の定雨が降り出した。それも、かなり強く。
降り始めて気付いたのは、この場所には水が抜ける穴がないこと。つまり、雨水がたまっていくのだ。雨は本当に強く、あっというまに足がつかなくなってしまった。
そんなこんなで、長い間、立ち泳ぎをしながら息をついていたのだけど、だんだんと疲れてきてしまった。空も近くなってきて、もう少しで溢れるんじゃないか、と思ったとき、唐突に僕は意識を失った。想像以上に疲れていたのかもしれない。
気がつけば懐かしい匂いのする部屋にいて、誰かが僕を呼んでいた。壁は白かったけれど、高い壁ではなく、天井も、ドアもあった。
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- 2005-11-01 02:26 Edit
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