No Real :in the headphone

2009-01-29

 悪いこと 悲しいことと 違うことで 不安を胸に 希望も尚なく

meta1

  • ブリキの匂い
  • ビーチサンダル
  • 雨の日のコンクリート

Cold Water

露出オーバーで、昼間なのに誰もいない教室で、そんな教室の隅で、独りで、夏で、でも窓が全部しまっていて、でれない、目を閉じると、前の自分がいて、他にも誰かがいて、みんなが、笑っていた。

Flying Head

「こんなに晴れてると飛べそうだよね」

「そう?」

「ほら背中に天使の羽がはえてて」

「うん」

「びゅーんって飛ぶの。太陽まで」

「うん」

「飛べそうだよね。晴れてると」

「うん」

「本当に思ってる?」

「ちょっと思い始めた」

「自殺願望あるの?」

symphony11

 空は厚い灰色の雲に覆われていた。地上には、かすかな太陽の光と、放射線。

 みんなが外にでなくなって、どれぐらいが経つだろう。今は、誰も積極的に外にでようとなんてしない。誰も積極的に死のうとなんて思わない。危険だから、みんながみんな、必死に。

 ところで、丘の上にまっすぐ立つ樹の上空だけ雲がないことを知っている人間は、どれぐらいいたんだろう。

 僕がそのことを知ったのは紛れもなく、完全に偶然だった。死のうと思った僕は、危険レベルが高いその丘に登って、頂上の樹の下に寝そべって空を見上げたのだ。そしてそれに気付いた。ごく狭いとはいえ、その部分だけは青い円ができていた。

 その後僕は何度か丘に足を運んだ。死ぬためではなく、その青い円を見るために。外にでる頻度が高いことを不審に思った妹がついてきたこともあった。危ないから、と言ったけれど聞かなかった。僕は帽子をかぶせて連れて行った。帽子なんてなんの意味もないのだけれど。


 それは、丘についたすぐ後に起こった。

 その日は日曜日だった。僕が丘に行こうとドアを開けると、「どこにいくの」と声がかかった。僕は「丘だよ。来るなら帽子をかぶっておいで」と言い、少しだけ待った。

 丘の空を見上げると、いつもより青い円が大きい気がした。妹も気付いたらしく僕にそれについて聞いた。

 その直後。ザーーというノイズ音が耳にフェイドインしてきて、あっというまに轟音があたりをつつんだ。空を見上げると、青い円はさらに大きくなっていた。いや青い円が大きくなっているわけじゃない。青い円は大きさを変えていなかった。ただ雲が落ちてきただけだった。

 小さい円はみるみる大きくなり、丘を包むほどの大きさになった。雲は町並みを覆い、ごうごうと音をたて動き回り、流れていた。合間に時折見えるかつての何かは真っ黒に染まり、見え隠れするたびに、形を失っていった。


 どれぐらいそれが続いたのかはわからない。僕らは手を繋いでそれを見ていた。気付けば頭上には真っ青な空があって、目の前には時間が止まったかつての街があった。

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